近所のお店で、中古CDをあさった。
黄色い看板でお馴染みの●●●オフも、駅前にあるけど、今日寄ったのは違うチェーン店だ。
以前に、この店で、かなりのお買い得っていうのをゲットしたことがあるので、前を通ったついでに寄ってみた。
「いっらしゃいませ~~~!!」
例によって店員さん達の元気な声に迎えられて、店内にはいると、ゲームやら、本やら、DVDやら、CDやらが、だ~~~っと並んでる。
僕は、いそいそと、お買い得コーナーに向かうわけだ。
やっぱり、宝探し感覚で楽しめるのは、お買い得コーナーだよね^^
・・と、店員さんのアナウンスが入る。
「お買い取り計算をお待ちの○○様~、○○様~、お待たせしましたぁ、カウンターまでお越し下さい!」
お買い得コーナーが、カウンターのそばだったので、なにげに見ていたら、二十歳くらいの大人しそうな青年がカウンターにやってきた。
ァ、この人が売るんだなぁ、ふむふむ。
店員さんも若い人だけど、マニュアル通りといった口調と笑顔で、青年に声をかける。
「お待たせいたしました。こちらのお買い取り金額は、CD二枚で・・」
ォ、二枚売るわけね、ふむふむ。
いくらになるのかな?
やっぱ、中古店で買い取るんだから、安いだろなぁ~
「こちら二枚で、じゅうえんとなります。よろしいでしょうか?」
じ・ゅ・う・え・ん・・・
売る側の青年は、呆然として声もない。
聞いていた僕にしても、思わず、ハッとしてカウンターを凝視した。
いや、こういうものなんでしょう。
店側も、買い取りの査定基準があってのことだし、こういう店でCDなり、本なりを売ったことがある人なら、そんなもんよぉと言うのだろう。
事実、僕なんかも、以前、この店でCD一枚100円で買ってお買い得~♪なんて喜んだわけだから、販売価値のあるものじゃなければ二束三文で買い取りってのが現実なんだろう。
でも・・でも・・
でも・・だよねぇ~~
「十円ですか・・」
やっとのことで、青年の口から力のない言葉が出ると、店員さんは返す刀で斬り下げた。
「はい、こちらのCDは一枚5円のお買い取りですので、二枚で十円でございます。よろしいでしょうか?」
何回もグサグサと、「5円」とか「10円」とか激しくトドメを差しながらも、店員さんのマニュアル通りの笑顔はくずれていない。
「はい・・いいです」
蚊の鳴くような返事を聞いて、店員さんは大袈裟な身振りで、青年の手のひらに銅色の硬貨を乗せた。
「ありがとうございましたぁ~~」
カウンターの店員さんが張り上げる声に唱和するが如く、店内のあちこちから「ありがとうございましたぁぁ~~」と呼応する。
後も見ずに店から出て行く青年の背に向かって・・
人生、いろいろあるよな。おたがい、がんばろうぜ!
無言で声をかけた僕だった。